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宇宙の巨大フィラメントは回っていた──2025年の発見が変える「宇宙の網」の姿

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「宇宙フィラメント」──聞き慣れない言葉かもしれませんが、宇宙全体がまるでクモの巣のような構造をしているって話、一度は耳にしたことがあるんじゃないでしょうか。銀河と銀河をつなぐ、あの「ひも状」の部分がフィラメントです。これまで多くの解説では、フィラメントはどちらかというと「静的な骨組み」のように語られてきました。ところが2025年、この常識を覆す発見が報告されました。なんと、全長5,000万光年にもわたる巨大なフィラメントが、ゆっくりと回転していたというんです。この発見は、宇宙の大規模構造に対する見方を大きく変える可能性を秘めています。今回は、2025年に明らかになった最新の研究成果を中心に、宇宙フィラメントのリアルな姿に迫っていきましょう。

宇宙フィラメントとは?まずは基本をおさらい

宇宙フィラメントとは、銀河団と銀河団を結ぶ、長いひも状の構造のことです。天文学辞典(日本天文学会、2024年)によれば、宇宙の大規模構造は、銀河が密集する「銀河団」、銀河団をつなぐ「フィラメント」、そしてほとんど何もない「ボイド(空洞)」という3つの要素で成り立っています。フィラメントはガスやダークマターで満たされていて、そのガスが集まることで新しい銀河が生まれることもある、いわば「宇宙の育ちの場」とも言える存在です。宇宙全体を俯瞰すると、まるで巨大な網目状の構造が浮かび上がってくるわけですね。

2025年の発見:フィラメントは「動いていた」

ここからが本題です。2025年12月、オックスフォード大学を中心とする研究チームが、驚くべき発見を『王立天文学会月報』で発表しました。彼らが捉えたのは、約5,000万光年にわたって連なる14個の銀河から構成される巨大フィラメント。この構造が、なんと秒速約110kmという速度で回転していたのです(WIRED.jp、2025年12月)。

これまでの宇宙論では、フィラメントはガスや銀河が流れ込む「通り道」としては認識されていましたが、構造そのものが回転しているとは考えられていませんでした。今回の発見は、フィラメントが単なる受動的な骨組みではなく、自らが持つ角運動量によって銀河の進化に積極的に影響を与えている可能性を示唆しています。研究チームはこの観測に、MeerKAT電波望遠鏡やDESI(ダークエネルギー分光装置)、スローン・デジタル・スカイ・サーベイ(SDSS)のデータを活用しました。

「動的構造」としてのフィラメントを考える

この発見をきっかけに、研究者たちはフィラメントをより「動的な存在」として捉え直し始めています。2025年1月には、フランスのCNRSやパリ=サクレー大学の研究チームが、宇宙フィラメント内の速度場や乱流に関するシミュレーション研究のプレプリントを公開しました(Lebeau, T. ら、2025年)。それによると、フィラメント内のガスの流れは単純な一方向ではなく、圧縮流から回転流へと遷移する複雑な様相を示していることがわかってきました。つまり、フィラメントは銀河団に物質を供給するだけでなく、その過程でガスを撹拌し、銀河の形成や進化に多様な影響を与えている可能性があるんです。

フィラメントが語る「ミッシングバリオン」の手がかり

宇宙フィラメントはもう一つ、天文学の大きな謎とも深く関わっています。それが「ミッシングバリオン問題」です。宇宙にあるべき通常物質(バリオン)の約半分が、まだ観測できていないという問題ですね。2022年、Kavli IPMUの谷村英樹氏を中心とする研究チームは、ドイツとロシアのX線観測衛星「eROSITA」を用いて、フィラメント内に存在する高温プラズマからのX線信号を検出することに成功しました(Kavli IPMU、2022年12月)。この発見は、長らく行方不明だったバリオンの一部が、実はフィラメント内の高温ガスとして存在していることを示す重要な証拠となりました。フィラメントは「見えない」宇宙の質量を占める場所としても、今後さらに注目を集めるでしょう。

近くで起きているフィラメントの物語

フィラメントの活動は、何も遠い宇宙の話だけではありません。私たちの天の川銀河の中心部でも、フィラメントにまつわる興味深い現象が確認されています。2025年6月、NASAの観測データをもとに、天の川銀河中心部にあるフィラメント構造「G359.13」が紹介されました(WIRED.jp、2025年6月)。このフィラメントは、まるで「骨折」したかのようにねじれた形状をしており、パルサーからの高エネルギー粒子の衝突によって変形したという仮説が提唱されています。また、渦巻銀河「NGC 3079」の中心部では、高さ2,000光年以上にも達する巨大なガスフィラメントが観測されており、その噴出速度は時速600万kmを超えるとされています。これは銀河中心での爆発的な星形成活動が関係していると見られています。

観測プロジェクトが変えるフィラメント研究の未来

これらの発見の背景には、観測技術の飛躍的な進歩があります。冒頭でも触れたeROSITAによるX線観測や、MeerKATの高感度電波観測、DESIやSDSSによる大規模な分光サーベイなど、複数のプロジェクトが連携することで、フィラメントの実態が少しずつ明らかになってきています。以下の表は、これらの主要なプロジェクトとその成果をまとめたものです。

プロジェクト/観測機器名主な目的・対象主な成果・発見(公開年)運用機関出典
SRG/eROSITAX線観測による宇宙の大規模構造のマッピング宇宙フィラメントの高温プラズマからのX線信号を検出し、ミッシングバリオンの一部を特定(2022年)ドイツ・ロシアKavli IPMU(2022年)
MeerKAT電波観測による銀河・フィラメント構造の解明回転する巨大銀河フィラメントや、天の川銀河のフィラメント「G359.13」の詳細構造を観測(2025年)南アフリカ電波天文台WIRED.jp(2025年)
DESI(ダークエネルギー分光装置)可視光・近赤外線分光観測による宇宙の3Dマッピング回転する巨大銀河フィラメントの構造解析に貢献(2025年)米国ローレンス・バークレー国立研究所WIRED.jp(2025年)
スローン・デジタル・スカイ・サーベイ(SDSS)多色撮像・分光観測による天体カタログ作成回転する巨大銀河フィラメントの構造解析に貢献(2025年)米国・日本等多国共同WIRED.jp(2025年)

宇宙フィラメントが教えてくれること

宇宙フィラメントは、私たちが想像していたよりもはるかに「生きていて」「動いている」存在でした。回転する巨大フィラメントの発見は、銀河の形成や進化に対する理解を根底から見直す可能性をはらんでいます。そして、eROSITAやMeerKATといった次世代の観測機器が次々とデータを生み出し、フィラメントの研究は今まさに加速度的に進んでいる最中です。2025年はフィラメント研究の転換点となる年として記憶されるかもしれません。宇宙の網の目がどのように宇宙を形作り、私たちの銀河にまで影響を与えているのか。今後発表される新しい観測結果からも、ますます目が離せませんね。

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