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PETフィラメント徹底比較:PETGとの違いは?PLA・ABSと比べて何が強いのか

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3Dプリンター用フィラメントを選ぶとき、「PET」とか「PETG」ってよく見かけますよね。でも、この二つって名前が似ているからこそ、正直「何が違うの?」ってなりがちです。結論から言うと、純粋な「PET」フィラメントは現在あまり市販されておらず、実際に私たちが手にしているのはほとんどが「PETG」という改良版の素材です。そしてこのPETGは、PLAほど簡単ではないけどABSよりは反りにくく、しかも曲げ強さは3素材中トップクラスという、非常にバランスの取れた素材なんです。この記事では、FLASHFORGE社の公開データ(2026年時点)をもとにした数値比較や、2026年3月に登場した高速造形対応の新製品情報も交えながら、あなたの用途に本当に合ったフィラメントはどれなのかを具体的に見ていきます。

PETとPETGの違いをまずはハッキリさせよう

検索で「フィラメント PET」と入力する方の多くは、おそらく「PET」と「PETG」の違いを知りたいのだと思います。ペットボトルでおなじみのPETは、実は3Dプリンター用フィラメントとしては非常に流通量が少ないのが実情です。楽天市場で確認できる「BASF PET-Natural 2.85mm」(BASF社製)のように、純粋なPETフィラメントは存在しますが、選択肢は極めて限られています。

一方、PETGの「G」はグリコール(Glycol)を指し、これを添加することでPETが結晶化して白濁・脆化するのを防ぎ、造形に適した特性にしています。つまり、私たちが「PETフィラメント」として購入しているものの99%は実際にはPETGだと考えて差し支えありません。

データで見る!PETGとPLA・ABSの物性比較

では、PETGは実際に他の素材と比べてどこが優れていて、どこが弱いのでしょうか。FLASHFORGE社が公開しているフィラメント物性表(公開日不明・2026年時点で閲覧可能)の数値をもとに、「強さ」を3つの観点で分解して比較してみましょう。この表は同じメーカー内での比較であり、数値の絶対値はメーカー間で異なる場合がある点はご注意ください。

項目(試験方法)PLA(標準)ABS(標準)PETG(標準)何がわかる?
引張強さ(MPa)≥60≥43≥52引っ張り強度はPLAが一番高い。ただし、これは硬さの指標であり、衝撃には弱い性質を持つ。
ノッチ衝撃強さ(J/m)≥16≥108(表に記載なし)衝撃に対する強さはABSが圧倒的。PETGはPLAよりは衝撃に強いとされるが、数値は非公開。
曲げ強さ(MPa)≥60≥70≥88PETGは3素材中最も曲げる力に強い。筐体やフレーム向け。
曲げ弾性率(MPa)≥2500≥2300≥2200数値が高いほど硬く曲がりにくい。PLAが最も硬く、PETGは最もしなやか。
プリント温度(ノズル)190-220℃220-240℃220-240℃PETGとABSは高温設定が必要。
ヒートベッド温度50-60℃80-110℃80-100℃PETGとABSはベッド加熱がほぼ必須。反りを防ぐ。

この表で特に注目したいのは曲げ強さ。PETGはPLAやABSよりも高い数値を示しており、スナップフィットや薄肉の筐体など、曲げ応力がかかるパーツに非常に強いことがわかります。一方、「衝撃に強い」という点ではABSの右に出るものはおらず、PLAは「硬いけど割れやすい」という性質を持っています。つまり、「どれが最強」ではなく、用途によって使い分けるべきなのです。

2026年3月に新登場!高速造形に対応した新型PETGとは

ここで一つ、非常に新しい動向をお伝えします。2026年3月12日、材料メーカーのPolymaker(日本総代理店:株式会社サンステラ)が、最大500mm/sの高速造形に対応した新型PETGフィラメント「Polymaker PETG」 を発表・発売しました(出典:ShareLabニュース、2026年3月12日)。これは従来の「PolyLite PETG」の後継製品に位置づけられ、高速プリント時の糸引き(ストリンギング)を抑制し、層間接着性を向上させたことが特徴です。

近年のBambu LabやCreality製などの高速3Dプリンターの普及に伴い、従来のPETGでは「速度を上げると糸引きがひどくなる」「層が剥がれやすい」といった課題がありましたが、この新製品はそうした悩みに真正面から対応しています。もしあなたが高速プリンターを使っていてPETGを諦めていたなら、この新型は試す価値が大いにあると言えるでしょう。

実際のユーザーはどこに悩む?口コミ傾向から見える課題

楽天市場の各フィラメント製品レビューページ(TAGin3D製品、BASF製品など)を2026年6月19日に確認しましたが、PETやPETGに関する十分な数のユーザーレビューを収集することができませんでした。これは、この素材がまだ「語られるほどには普及していない」ことの裏返しでもあり、スペックシートだけでは見えない生の声が少ないのが現状です。つまり、現時点では公式データやメーカー公表情報を頼りに判断するしかなく、その分、正確な一次情報を基にした比較記事の価値がむしろ高いという状況です。

よくある誤解:「PETGはABSより強い」は本当か?

インターネット上の解説記事では「PETGはABSよりも強くて扱いやすい」という表現をよく見かけますが、これは半分正しくて半分間違っています。先ほどのFLASHFORGEのデータをもう一度見てください。

  • 衝撃に対する強さ(割れにくさ):ABSが圧倒的に優位(ノッチ衝撃強さ:ABS ≥108 J/m vs PLA ≥16 J/m、PETGの数値は非公開だがPLAより上とされる)。
  • 曲げに対する強さ:PETGが優位(曲げ強さ:PETG ≥88 MPa vs ABS ≥70 MPa)。

つまり、「強い」とはどの方向の力に対してかによって答えが変わるのです。ハンマーで叩くような衝撃にはABSが強く、曲げたり歪めたりする応力にはPETGが強い。ですから、「PETGはABSより優れている」という単純な優劣は成り立ちません。あなたの作りたいパーツが「落下や衝撃に耐えたい」のか「継続的に曲げ応力がかかる構造」なのかで選ぶべき素材は変わってくるのです。

PETGプリントのコツと注意点

PETGはPLAよりは扱いが難しいものの、ABSよりは反りが少なく、比較的安定して造形できる素材です。主な注意点は以下の通りです。

  • 吸湿に弱い:PETGは非常に吸湿しやすく、湿気を吸うと糸引きやポッピング(気泡による表面不良)が発生します。使用前は十分な乾燥(ドライボックス推奨)が必須です。
  • ノズル温度は230〜240℃前後が目安。低温すぎると層間密着が悪くなります。
  • **ベッド温度は80〜100℃**で、接着剤(スティック糊やテープ)を使うと剥がれにくくなります。
  • リトラクション設定がシビア:糸引きを防ぐため、スライサー設定の微調整が求められます。

結局、どのフィラメントを選べばいいのか?

ここまでのデータと情報をまとめると、あなたの目的に合わせた選択はこうなります。

  • PLAで十分な場合:装飾品、簡単なプロトタイプ、初心者の練習用。造形のしやすさ最優先。
  • 衝撃に強い部品が欲しい場合:ABS。ただし、反りと臭いに注意。造形環境の整備が必要。
  • 強度と靭性のバランスを求め、かつABSよりは反りを抑えたい場合:PETG(またはPETG)が最有力。特に曲げ強さが必要な構造部品や、屋外使用(耐候性がPLAより高い)にも適しています。
  • 高速プリンターを使っていて、なおかつPETGの糸引きに悩んでいる場合:前述の Polymaker PETG(2026年3月発売) のような高速対応新製品を検討してみてください。

具体的な製品名としては、今回取り上げたPolymaker PETGやPolyLite PETG、BASF PET-Natural 2.85mm、**FLASHFORGE PETG**などが市場で確認できる選択肢です。購入の際は、自分のプリンターの対応径(1.75mm / 2.85mm)を必ず確認してから選ぶようにしてください。

3Dプリントの素材選びは、スペック表の数値だけでなく、自分の作りたいものの「使われ方」を想像することが何より大切です。「強い」という一言にも種類があることを理解した上で、今回の数値データを参考に、あなたにぴったりの一本を見つけてください。

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