PR

柔らかいフィラメント徹底比較:硬度別で見る選び方と造形テクニック

記事内に広告が含まれています。

3Dプリンター用の柔らかいフィラメント選びで最初に押さえるべきは、「どのくらい柔らかさが必要か」という一点です。この記事では、硬度(ショア硬度)を軸に、代表的な製品を比較しながら、ユーザーが実際に直面する造形のコツやトラブル対策まで解説します。結論から言うと、硬度95AのTPUはバランスが良く初心者にもおすすめですが、衝撃吸収やグリップ性を重視するなら85A、さらにしなやかさを求めるなら60Aの超軟質フィラメントを選ぶとよいでしょう。ただし、超軟質になるほど造形難易度が上がり、対応プリンターも限られる点に注意が必要です。

柔らかいフィラメントの硬度と特徴を理解する

柔らかいフィラメントといっても、その硬さは製品によって大きく異なります。代表的な素材としてTPU(熱可塑性ポリウレタン)とTPE(熱可塑性エラストマー)が挙げられますが、どちらも硬度の数値によって使い心地がまったく変わってきます。

一般的な硬度の目安として、95Aは比較的硬めで造形しやすく、初心者にも扱いやすいとされています。一方、85Aは明らかに柔らかく、しなやかな質感が求められる用途に向いています。そして、60Aは「超軟質」とも呼ばれる領域で、ゴムのような柔らかさを持ちますが、その分造形は非常に難しくなります(TENAGLE実機検証記事より)。

2026年1月には、ホッティーポリマー株式会社が自社の超軟質エラストマーフィラメント(HPフィラメント 60A)の出力ポイントや活用事例を公開しています(出典:ホッティーポリマー公式コラム、2026年1月13日)。このように、超軟質素材の情報も徐々に増えてきているものの、まだ一般のユーザーには十分に知られていないのが現状です。

硬度別の比較:95A、85A、60Aの違いを徹底検証

ここでは、代表的なフィラメント製品を硬度別に比較してみましょう。以下の表は、各製品の硬度や価格帯、造形のしやすさをまとめたものです。ただし、価格は販売時期や店舗によって変動するため、あくまで参考値としてご覧ください。

フィラメント名 / メーカー硬度の目安 (ショアA)価格帯の目安 (1kgあたり)相対的な造形難易度主な推奨用途・特徴
BASF Ultrafuse 64D~64D (硬め)約9,600円/kg (750gで7,200円)★★☆☆☆ (やや易しい)形状を重視したい場合。硬めで失敗が少ない(TENAGLE検証記事より)
Polymaker TPU95A95A (標準的な硬さ)約9,900円/kg (750gで7,400円)★★★☆☆ (普通)バランスが良く、最も流通量が多い(TENAGLE検証記事より)
BASF Ultrafuse 85A85A (やや柔らかい)約9,600円/kg (750gで7,200円)★★★★☆ (やや難しい)95Aより明らかに柔らかく、しなやかな質感が必要な場合に(TENAGLE検証記事より)
HPフィラメント 60A60A (非常に柔らかい)約30,000円/kg (500gで15,000円)★★★★★ (非常に難しい)最高レベルの柔軟性が必要な場合。プリンターと形状を厳選する(ホッティーポリマー/TENAGLEより)

この表を見ると、硬度が下がる(柔らかくなる)ほど価格が上がり、造形難易度も高くなることがわかります。特に60Aの製品は、Polymaker TPU95Aの約3倍の価格帯になるケースもあるため、コスト面でのハードルは無視できません。

ユーザーが実際に直面するトラブルと解決策

せっかく柔らかいフィラメントを購入しても、造形に失敗してしまっては元も子もありません。ここでは、実際のユーザーが直面しがちなトラブルと、その対策を紹介します。

まず、超軟質フィラメント(60A)で大きめの造形物やオーバーハングがある形状を印刷しようとすると、プラットフォームからの剥がれや反りが発生しやすいという報告があります(TENAGLE実機検証ブログより)。これに対しては、造形面に養生テープを貼ることで定着性が改善されるケースが確認されています。

また、ノズル内でフィラメントが詰まる「ジャミング」も頻発するトラブルです。特に柔らかい素材は送り出しの際に座屈(フィラメントが曲がってしまう現象)を起こしやすく、これが詰まりの原因になります。この問題に対しては、FLASHFORGE社の公式サイト(2023年11月更新)でも、速度を20mm/s程度に落とすことや、カプトンテープの使用が推奨されています。

さらに、柔らかいフィラメントは湿気に弱いという性質もあります。実際にユーザーからは、使用後はジップロックなどの密閉袋にシリカゲルと一緒に保管するという実践例が報告されており、湿度管理が品質維持の鍵を握ることがわかります(個人ブログ検証より)。

硬度と形状の関係:何を造るかで選び方が変わる

ここで一つ、多くの解説記事ではあまり触れられていない重要なポイントをお伝えします。それは、「硬度だけでなく、造形する形状自体が成功を大きく左右する」という点です。

例えば、単純な直方体や円柱のような形状であれば、初心者でも比較的造形しやすいですが、複雑なオーバーハングやブリッジ構造が含まれるモデルになると、急に難易度が上がります。実際に、超軟質フィラメント(60A)を使った検証では、単純な形状では高品質な出力が可能だった一方で、複雑な形状になると反りやジャミングが発生しやすくなったという結果が出ています(TENAGLE検証記事より)。

つまり、初めて柔らかいフィラメントに挑戦する場合は、まずはシンプルな形状でテスト印刷を行い、プリンターの設定や素材の癖を掴むことが大切です。その上で、徐々に複雑なモデルに挑戦していくと、無駄な失敗を減らせるでしょう。

柔らかいフィラメントを選ぶなら何を基準にすべきか

ここまで見てきたように、柔らかいフィラメント選びには硬度、価格、造形難易度、そして造形する形状の4つの軸が重要です。冒頭でも触れたように、まずは自分の目的を明確にしましょう。

衝撃吸収性やクッション性をそれほど重視せず、とにかく失敗を少なくしたいなら、Polymaker TPU95Aのような硬度95Aの製品がおすすめです。入手しやすく、情報も豊富なので、初心者でも比較的スムーズに始められます。

一方で、グリップ性やしなやかさが求められる製品(例えば工具のグリップやウェアラブルデバイスのバンドなど)を作りたい場合は、BASF Ultrafuse 85Aを検討してみてください。硬度95Aよりも明らかに柔らかく、用途の幅が広がります。

そして、どうしてもゴムのような極端な柔らかさが必要な場合のみ、HPフィラメント 60Aのような超軟質素材を選びましょう。ただし、この場合は対応するプリンター(ダイレクトドライブ式が推奨)や、速度設定(20mm/s以下)などの条件を満たしているか事前に確認することが必須です。価格も高額になるため、慎重な判断が求められます。

まとめ:自分に合った柔らかいフィラメントを見つけるために

柔らかいフィラメントは、使いこなせば造形の可能性を大きく広げてくれる魅力的な素材です。しかし、その分だけ選び方や造形テクニックにはコツが伴います。この記事で紹介した硬度別の特徴やユーザーの生の声、トラブル対策を参考に、ぜひ自分にぴったりの一本を見つけてみてください。

最初から完璧を目指さず、まずはお手頃なPolymaker TPU95Aで感触を確かめ、徐々に求める柔らかさや形状に挑戦していくのが、長く3Dプリントを楽しむための近道かもしれません。新しい素材に挑戦するときは、いつも少しの冒険心と、そしてしっかりとした準備を忘れずに。

コメント

タイトルとURLをコピーしました