PR

ABSフィラメントの設定、これで決まり!機種別の最適値と反り対策を徹底解説

記事内に広告が含まれています。

「ABSフィラメント、買ってみたはいいけど、設定がわからない…」「印刷してみたら、すぐに反ってしまった…」

そんな悩み、よくわかります。PLAより強度や耐熱性に優れるABSは、実用的なパーツ作りに欠かせない素材です。でも、その設定の難しさから「ABSは難しい」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

結論から言います。ABS印刷の失敗のほとんどは、機種に合った正しい設定と、ちょっとした環境づくりで防げます。この記事では、特にユーザー数の多いCreality社のプリンターを中心に、機種ごとの具体的な設定値(2026年9月時点での知見)を一覧で紹介します。さらに、反りや層間剥離などのトラブルを未然に防ぐための実践的なコツも、実際のユーザーの声を交えながらお伝えします。この記事を読めば、あなたのプリンターでABSを成功させるための道筋がはっきりと見えるはずです。

Crealityプリンター機種別のABS設定まとめ

ABSフィラメントの設定で最初に押さえるべきは、ノズル温度、ベッド温度、そしてエンクロージャー(筐体)の有無です。一般的な目安として、ノズル温度は240〜260℃、ベッド温度は90〜110℃とされています(Polymaker Wiki, 2026年8月)。しかし、これらはあくまで目安。同じメーカーのプリンターでも、オープンフレームか密閉型か、ボーデンチューブ式かダイレクト式かによって、最適な値は変わってきます。

そこで、Crealityの主要機種ごとに、私が調べた限りの推奨設定値を表にまとめました。

プリンターモデルノズル温度 (℃)ベッド温度 (℃)チャンバー温度 (℃)印刷速度 (mm/s)冷却ファン (%)備考(特性)
Ender 3 / V2 / Pro235 – 245100 – 110DIYエンクロージャー推奨40 – 500ボーデンチューブ式。オープンフレームのため、エンクロージャーがほぼ必須。
Ender 3 S1 Pro240 – 250100 – 110DIYエンクロージャー推奨50 – 600 – 10ダイレクト式。S1シリーズは比較的ABSが印刷しやすいという評がある。
Creality K1 / K1 Max250 – 270100 – 110~50 (パッシブ)150 – 2500 – 20密閉型。高速印刷が可能だが、チャンバーが能動的に加熱されないため、大型パーツでは注意。
Creality K2 Plus250 – 275100 – 11050 – 60 (アクティブ)200 – 3000 – 20アクティブヒートチャンバー搭載。最も反りが少なく、高速印刷が可能なCreality製プリンター。
汎用設定 (目安)240 – 26090 – 110安定した高温環境40 – 800 – 20多くのガイドで推奨される基本値。プリンターの性能やフィラメントの特性に応じて調整が必要。

この表を見てわかる通り、K2 Plusのようなアクティブヒートチャンバー搭載機は、チャンバー内を50〜60℃に保てるため、反りのリスクを大幅に減らせます。一方、Ender 3シリーズのようなオープンフレーム機で成功させるには、後述する「反り対策」がより重要になってきます。

なぜABSは反るのか?その仕組みと対策の基本

そもそも、なぜABSは反ってしまうのでしょうか。これは、ABSが冷却される際に大きく収縮する性質を持っているからです。例えば、230℃の高温で押し出されたABSが室温まで冷えると、約1.5%も収縮すると言われています(Flashforge公式サポート)。この収縮によって発生する内部応力が、ベッドへの密着力に勝ると、端の方からベッドが剥がれ、反りが生じてしまいます。

この反りを防ぐ基本戦略はただ一つです。**「印刷中は温度を一定に保ち、ゆっくりと均一に冷やす」**こと。そのために必要な対策がこちらです。

  1. エンクロージャー(筐体)の使用: 最も効果的な対策です。プリンター全体を覆うことで、暖かい空気を閉じ込め、急激な温度変化を防ぎます。市販のエンクロージャーキットや、安価な「段ボール」を被せるだけでも効果はあります。
  2. ベッド温度の最適化: ベッドをしっかりと高温(100℃前後)に保つことで、印刷物の底面が冷えにくくなります。Creality Cloudの公式ヘルプでも、ベッド温度は100℃に設定することが推奨されています。
  3. ラフトやブリムの使用: スライサーソフトで「ラフト(土台)」や「ブリム(つば)」を有効にすると、ベッドとの接触面積が増え、反りを物理的に抑えられます。
  4. ドラフト(風)を避ける: エアコンや扇風機の風、さらには人の行き来による風も、局所的な冷却を引き起こし反りの原因になります。特にオープンフレーム機では、印刷中は部屋の窓を閉め、風が当たらない場所にプリンターを設置しましょう。

反りだけじゃない!ABS印刷のリアルな悩みと解決策

設定値だけでなく、実際に印刷を始めると、他にもさまざまな問題に直面します。X(旧Twitter)やYahoo!知恵袋などで見られるユーザーの声を要約すると、特に「層間剥離(層が割れる)」や「糸引き(ストリング)」に関する悩みが多く寄せられていました。

これらの問題の多くは、ノズル温度や印刷速度、そしてフィラメントの品質に原因があることが多いです。

  • 層間剥離が発生する場合: ノズル温度が低すぎるか、冷却ファンが強すぎて、層と層がしっかりと接着する前に冷えてしまっている可能性があります。まずはノズル温度を5〜10℃上げてみてください。また、K1シリーズのような高速プリンターでは、速度を落とすことも効果的です。
  • 糸引き(ストリング)が発生する場合: ノズル温度が高すぎるか、リトラクション(引き戻し)の設定が適切でないことが考えられます。温度を少し下げるか、スライサーのリトラクション距離や速度を調整してみましょう。ダイレクト式のプリンター(Ender 3 S1 Pro等)はボーデン式(Ender 3等)と比べてリトラクション距離を短めに設定するのが一般的です。
  • ベッドに貼り付かない場合: ベッドの水平調整(レベリング)がずれているか、Zオフセット(ノズルとベッドの隙間)が適切でない、あるいはベッド表面の汚れが原因です。特にABSは、ベッドにしっかりと押し付けるように印刷することが成功の鍵です。また、Creality Cloudの公式ヘルプでも推奨されているように、スティックのりや専用の接着剤を使うのも有効な手段です。

設定を変えてもダメな時の最終手段 「反りにくいABSフィラメント」

ここまで紹介した温度調整や環境づくりを試しても、どうしても反りが収まらない場合があります。特に、Ender 3のようなオープンフレーム機で大型のパーツを印刷するのは、至難の業と言えるでしょう。

そんな時に検討したいのが、根本的に反りにくい特性を持ったABSフィラメントです。例えば、BASFから販売されている「Ultrafuse ABS Fusion+」は、特殊な配合により従来のABSと同等の機械特性を持ちながら、造形時の反りを大幅に抑制できることが報告されています(日本3Dプリンター株式会社、2024年10月発表)。通常のABSと同じ設定で印刷できる場合も多いですが、製品によっては推奨温度が異なることもあるので、購入前にメーカーの推奨設定を確認することをおすすめします。

また、もう一つの悩みである「ABS特有の強い臭気」については、Polymaker社のABSのように、低臭気・低有害ガスを謳う製品も登場しています。これらのフィラメントは、特にリビングやオフィスなど、人がいる場所で印刷する際の大きな選択肢となるでしょう。

まずは一歩を踏み出そう

ABSは確かにPLAより扱いが難しい素材です。しかし、その設定のコツさえ掴んでしまえば、強度と耐熱性を活かした、実用的なものづくりの可能性が大きく広がります。

まずはこの記事で紹介した、あなたのプリンターに合った設定値を参考に、小さなテストピースから印刷してみてください。反りや糸引きが発生したら、その都度、原因を特定し、温度や速度を微調整する。その積み重ねが、ABS印刷の上達への近道です。失敗を恐れずに、ぜひチャレンジしてみてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました